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更田委員長職員訓示(東京電力・福島第一原子力発電所の事故から8年にあたって)

2019年3月11日
原子力規制委員会委員長 更田豊志

東日本大震災、そして東京電力・福島第一原子力発電所事故の発生から8回目の3月11日を迎えました。

東京電力・福島第一原子力発電所事故に対する反省と教訓は、原子力規制委員会、原子力規制庁にとって、まさに原点です。そこで特に今日は、皆さん一人ひとりに事故のことを考えていただきたいと思います。できれば職場の仲間と事故について語り合う時間を持っていただければと思います。

その材料になれば幸いですが、私はここで、3つのことをお話ししたいと思っています。

まず1つ目は、事故以前について。事故以前の組織や人の姿勢、考え方に関わる反省についてです。

1年前、私はこの席で皆さんに、安全の追求は“現状維持欲求”との戦いでもあるという話をしました。私たち人間には現状を維持したがるという欲求があり、たとえ大きなメリットをもたらすことであっても、変化に伴うデメリットの方をより強く意識してしまい、これを避けようとする傾向があります。深刻な失敗をしてしまうまで、今の状態が続くものと信じたがり、デメリットを伴う選択と向き合わず、変化を避ける、あるいは後送りしてしまう。人は“現状維持”を指向してしまいがちだということをお話ししました。

同じように、人は自らが属する組織や仲間を信頼すること無しに生きていくことがなかなか難しい。仲間を信頼できるということは自らの安心のためにも不可欠なので、人は自ずと仲間を信頼したいという指向性を持ちます。職場における信頼関係はとても重要であり、信頼し合うことは良いことですが、ここにも落とし穴は潜んでいます。

私たちは、事故以前に、組織やシステム、あるいは権威というものを信頼し過ぎてはいなかったか。信頼を通り越して依存していたのではないか。

自分はよく理解できてはいないけれど、きっと仲間の誰かがちゃんと理解してきちんとやってくれている筈だとか、いわゆる“偉い人”がたくさん集まって話を聞いているのだから、おかしなところがあればきっと誰かが指摘してくれる筈だとか。

規制の場合、物づくりやその運用にあたっている人達からの説明を聞いて、おかしいと思ったら指摘するという構図になる場合が多いので、きちんと理解しないで説明を受け容れてしまっても、少なくともその場は治まってしまいます。

もちろん、すべての者がすべてを理解するなどということはあり得ません。しかし、自分の持ち場、自分の責任範囲に関しては、理解に向けた出来る限りの努力をすることはもちろんですが、疑問を持ったら、おかしいと思ったら、あるいは、理解できないと思ったら、声を挙げる義務があるのです。仲間の誰もがこういう指摘はしていないからとか、上司が異なる意見だからとかで声を挙げないというのは、年齢や経験などに拘わらず、あらゆるレベルにおいて責任放棄に等しいと考えていただきたいと思います。原子力規制委員会は、誰もが声を挙げることができる職場というよりも、必要なときは誰もが声を挙げねばならない職場をつくろうとしているのです。

規制委員会と規制庁との間の信頼関係が重要であることは言うまでもありませんが、私たち5名の委員は、優秀な規制庁職員がちゃんとやってくれている筈と信じ込んでしまわない義務を負っていると考えています。

2つ目は、真っ最中のことについて。東京電力・福島第一原子力発電所において事故が急激に進展し、対処や評価に追われていたときの経験についてです。

事故の進展中、とにかくわからないことがほとんどでした。評価や判断に確信が持てるということはほとんどありませんでした。今はたくさん対策をとったので、今度もし事故が起きたときはそうはならないと考えるのは幻想に過ぎません。

ところが規制の実施にあたっては、もちろん必要があってのことですが、過酷事故の進展に係る解析評価などに接することが多く、事故の進展があたかも私たちの理解の範囲にとどまるという誤解、幻想が生まれているのではないかと危惧しています。

新たに多くの対策をとることによって、過酷な事故に至ってしまう可能性を抑え込むことが出来ているけれども、それでもなお炉心の溶融を伴うような過酷事故に至る可能性は決してゼロではなく、また、そうなってしまったら、その後の対処において、十分な情報が得られるとか、確信をもった判断が下せると考えるのは明らかに過信というものであろうと私は考えています。

様々な対策をとった。様々な強化を行った。それだからこそ、それでもなお過酷な事故に至ってしまったような条件を考える場合には、事故の進展は私たちの理解を越える可能性が高いと考えるべきです。

3つ目、事故の発生から現在までのことについてひとつだけお話しします。

避難区域の解除、地域の復興に向けた拠点整備、廃棄物の処理・処分、風評被害対策などに係る努力が続けられており、福島第一原子力発電所の困難な廃炉作業に係る規制と地域のモニタリングとが原子力規制委員会の重要な責務です。ここでも、科学的・技術的知見に基づく見解や判断を持ったら、声を挙げるというのが原子力規制委員会にとって重要な姿勢の一つだと考えています。

福島第一原子力発電所の廃炉作業では、いわゆる処理済水の処分方法についての選択が大きな課題となっています。

処理済水の処分は、東京電力だけ、福島県だけの問題ではありません。しかしそのことによって、東京電力が処分方法の選択に係る責任を免れるわけではなく、当事者としての判断、見解を示すべきであろうと私は考えています。

一方、原子力規制委員会は処分方法の選択を行う主体ではありませんが、放射線の影響から人と環境を守るという責務に鑑みて、明確な見解を持った以上、これを明らかにすることは私たちの基本姿勢に従ったものであると考えています。この基本姿勢は今後も貫きたいと思います。

東京電力・福島第一原子力発電所事故については、事故以前、事故発生直後、そして発生から現在に至るまでのそれぞれについて考えるべきことがそれこそ無数にあります。皆さん一人ひとりに事故のことを考えていただいて、それぞれの考えをもとに、周囲の仲間と語り合う時間を持っていただくことは、たいへん価値のあることだと思います。

以上をもって訓示とします。

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