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田中委員長職員訓示(東京電力・福島第一原子力発電所の事故から6年にあたって)

2017年3月10日
原子力規制委員会委員長 田中俊一

東日本大震災、そして東京電力・福島第一原子力発電所事故から明日で6年経ちます。事故の反省に立って発足した原子力規制委員会と原子力規制庁にとって大切な日でありますから、みなさんにお集まり頂き、福島の復興と私たちの仕事との関わりについて少しお話しさせていただきたいと思います。

事故後に避難を余儀なくされた福島県内の11市町村。これまでに5つの自治体で避難指示が解除され、この春には原子力発電所が立地している大熊町と双葉町、それに一部の帰還困難区域を除き、新たに4つの自治体の避難が解除され、多くの住民がふるさとに戻り、復興への本格的な道を歩み始めることが期待されています。

しかし、先に避難指示が解除された自治体の帰還率は、これまでのところ、10%から20%に留まり、10%にも満たないところもあります。

さらに、帰還困難区域については、一部を復興拠点地域に指定し、帰還・復興への道筋をつけることにしていますが、現状では具体的な目処が立たないため、帰還を諦めざるを得ない住民も少なくありません。

住民の帰還を妨げているのは、福島第一原子力発電所についての心配だけではありません。

帰還した後の仕事や生活のこと、子どもの教育のこと、病院のこと。事故前と違う放射線の環境下で暮らすことへの健康不安、眼前、目の前に山積みになっている除染廃棄物に対する不快感など、様々な課題が山積しています。

一方で、県外へ避難している住民や県外への移住を決めた住民も、放射能や避難生活に対する根拠のない“風評”や“誤解”による差別やいじめ等によって、言葉に尽くせない苦悩と怒りに苦しんでいます。

つまり、福島県の住民にとっては、事故はまだ続いており、「先の展望を見出せないままに6年が経ってしまった」というのが実感ではないでしょうか。

こうしてみると、原発事故の被害は、時間とともに解決するというよりもむしろ問題が複雑化し、課題が増えている面もあるように思います。

例えば、事故後に政府が示した、追加被ばく線量の扱いについてです。「年間1mSv」という目標値と、現実に達成できる除染のレベルとの間に開きがあること、多くの人が疑問と苦悩を感じています。

また、空間線量から年間の被ばく線量を推定する方法についても、もっと現実に即した見直しが必要とされています。住民に個人線量計を配り、被ばく線量を継続的に測定した結果を比べると、国がとっている評価値は、実際の被ばく線量と比べて約4倍も過大評価になっていることが分かってきました。

私たちは、放射線による有害な影響から人と環境を守ることを使命として掲げています。

事故後には、食品の摂取基準、出荷基準、海水浴場の使用基準、田畑の作付制限など放射線防護に関するさまざまな基準が示されてましたが、実態として整合性のある合理的な基準にはなっていません。国が提示する基準は、国民にとって極めて重いものです。

様々な放射線防護に関する基準や規則について、常に科学的な検討を加えることは、地味な仕事かもしれませんが極めて重要な仕事です。

なぜならば、その判断の先には、国民の健康や生活があり、福島県の復興、風評被害の問題があります。新たに生まれ変わる放射線審議会には、科学的な立場から合理的かつ整合性のある放射線防護基準を提示して頂けることを強く願っているところです。

福島第一原子力発電所のサイトの安全確保は私たちの重要な仕事ですが、私たちが担うべき責任は、次第に広がりと重さを増してきています。

原子力発電所については、福島のような事故は二度と起こさないことを誓って進めてきた審査はまだまだ続きますが、複数の原子力発電所が稼働を開始し、原子力発電所の安全を確保する上での検査の役割が重要になります。また、審査や基準も常に新しい知見に応じて改善を図ることが必要です。

再処理施設をはじめ核燃料取り扱い施設の審査も大詰めにきていますし、廃炉と廃棄物の安全確保も重要な業務として取り組まなければなりません。

私たちが取り組んでいるすべての業務は、直接、間接に原子力や放射線利用の安全に関わる大切なものです。我が国の社会や国民生活に大きな影響のある仕事であることを自覚し、引き続き、科学的・技術的な基盤に立ち、中立的・合理的な規制に取り組んで頂きたいと思います。

いわき市の福島工業高等専門学校では、福島第一原子力発電所の廃止措置に積極的に貢献するため、全国の高専に呼びかけて廃炉ロボットコンテストを実現し、廃炉プログラムを設けて知識や技術を学んでいます。自分たちに責任のない原発事故で、不自由な生活を余儀なくされてきた若者たち、事故時に小学生だった若者が、ふるさとの再生に向けて自主的に取り組んでいる姿には頭がさがります。

一方、福島第一原子力発電所の事故による、福島県民の苦悩は、残念ながら時間の経過とともに国民の目から次第に色あせてきているのも現実です。6年もの間、避難を余儀なくされてきた多くの住民が、ようやくふるさとに帰還できる春を迎えますが、ふるさとで働きたいと思う若者が、仕事を持ち、子どもを育て、健康に不安を感じないで普通の生活をするために私たちは何ができるのか、問われています。

事故から7年目を前に、福島の復興に思いを馳せると同時に、原子力規制委員会発足の原点を委員、職員一人一人が再確認して頂くようお願いして本日の訓示とします。

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