田中委員長年頭挨拶

2015年1月5日
原子力規制委員会委員長 田中俊一

皆さん、新年あけましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

原子力規制委員会ができて、2年と3か月余りが経過しました。この間、山積した問題を解決するにために活躍されてきた職員の皆さんに感謝するとともに、平成27年の仕事始めにあたり、本年取り組まなければならない課題について、みなさんと共に考えてみたいと思います。

第一の課題は、引き続き東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置です。この一年を振り返ってみますと、4号機の使用済み燃料の取り出しが完了したこと、長い間の懸念事項であった海側トレンチの埋め立て作業が進捗し、トレンチ内の高濃度の汚染水の措置が近々終了する見通しが立ったこと、ALPSやストロンチウム除去設備が次々と稼働し、RO濃縮水の処理が進み敷地境界の線量率の上昇が収まり、大幅に下げる目処が立ったこと、 毎日、7~8千人の方が廃止措置作業に従事している作業環境が着実に改善されつつあること、など、一定の前進がありました。しかしながら、事故から間もなく4年になりますが、福島第一原子力発電所にはまだまだ多くの問題があり、住民の不安を解消するまでには至っておりません。年末の規制委員会では、福島第一原子力発電所が抱える課題を整理して頂き、意見を交わしましたが、一日でも早く住民の方が古里に戻り、復興への取り組みを始められるように、規制委員会・規制庁として、引き続き最大の努力をすることを,この場で再確認したいと思います。

2点目の課題は、原子力発電所の新規制基準への適合性審査です。昨年は、新基準の策定後初めて、川内原子力発電書1、2号機の設置変更の許可をしました。また、高浜原子力発電所3、4号機についても、パブリックコメントの段階に入ることができました。しかし、これらの原発の他にも、適合性審査中の原発は、PWRが8基、BWRが9基あります。加えて、六ヶ所の再処理工場をはじめ多くの核燃料取扱い施設や研究炉等の審査も進捗中ですし、さらなる申請が出てくる可能性もあります。このように審査だけでも膨大ですが、これと並行して、原子力発電所が稼働することになれば、今までとは異なるフェーズの仕事が求められます。施設検査、使用前検査など、現場での仕事が多くなり、かつ重要性が増してきます。ある意味、今年は昨年より一層気を引き締めて業務に当たらなければならないということを、胸に留めておいていただきたいと思います。

本年の3番目のトピックスとして、IPPASやIRRSの受け入れを挙げたいと思います。今年は、NRAが原子力規制機関として国際評価を受けるため、2月にIPPAS、12月にIRRSの受け入れが予定されています。特に、IRRSは、福島第一原子力発電所の事故が起きた後の、日本の原子力規制機関の有り様を評価してもらう貴重な機会だと思います。IPASSやIRRSの評価においては、良い評価を得ることが目的ではありません。大事なことは、現状を率直に示し、原子力安全に対する考え方と姿勢、そのための具体的な取組みを評価してもらうことです。同時に、規制機関の職員としてのあるべき姿勢について、何を求められているのか、この機会を利用して一人一人考えて頂きたいと思います。

以上3点申し上げましたが、今年はこの他にも、廃棄物の規制基準策定、放射線利用に係る課題、人材の育成や確保など、重要な課題がたくさんあります。これまでにも増して、課題が多様になると共に、仕事量が増えると思いますが、「意思あるところに道は通ず」と言いますので、共に高い志を持ち、力を合わせて難局を切り開いていきましょう。

今年はNRAの節目の年になります。くれぐれも心身の健康には気を付けながら、年末にはよい一年であったと振り返ることができるよう頑張りましょう。以上をもって私の新年の挨拶とします。

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