独立行政法人日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター材料試験炉(JMTR)における非管理区域への放射性物質の漏えいについて報告を受けました
平成24年10月25日
原子力規制委員会
原子力規制委員会は、本日(25日)、独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下「JAEA」という。)から、材料試験炉※1(以下「JMTR」という。)の非管理区域における放射性物質漏えいについて、原子炉等規制法に基づく報告を受けました。
本事象の発生に伴う外部への放射性物質の影響はありません。
※1原子炉の燃料、材料の耐久性及び健全性等の試験を行う研究炉
1.JAEAからの報告内容
10月19日、JMTRの使用済燃料切断プール※2の排水貯槽から廃液移送管にかけての健全性を確認する自主検査を実施していたところ、非管理区域にある当該移送管表面に水のにじみがあるのを確認した。その後、直ちに同移送管に水を送る移送ポンプを停止し、当該移送管表面のにじみも停止した。
にじみ水について、にじみ確認当初の測定では放射性物質は検出されなかったが、24日に詳細な測定を行ったところ、微量の放射性物質を検出した。
このため本日(25日)、当該移送管からのにじみ水は放射性物質を含む水であると判断し、原子力規制委員会に報告した。
※2輸送のために使用済燃料の上部と下部の構造材(アルミニウム)の切断を行うところ(ウランが含まれている燃料部分を切断するものではない)
2.プラント安全性への影響
本事象は、非管理区域において放射性物質を含む水が漏えいしたものであり、当該配管の有する閉じ込め機能が喪失したものですが、これまでの事業者の確認によると、漏えいは微少なものであり、発見時に移送ポンプを停止することにより漏えいは停止し、漏えい箇所のふき取りを実施しています。
また、排気モニタや施設内の放射線モニタに有意な変動はなく、外部への放射性物質による影響、作業員の被ばくは確認されていません。
3.原子力規制委員会の対応
原子力規制委員会では、事業者から連絡があった以降、現地原子力保安検査官が、現場の処置状況などプラントの安全状況を確認するとともに、その後も継続的に事業者の対応状況の確認を行っています。
本件は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第62条の3に基づき報告を受けたものです。今後、事業者が行う原因究明及び再発防止策について、その計画や実施状況を含め、厳格に確認していきます。
INES※による暫定評価
- 基準1
- -
- 基準2
- -
- 基準3
- 0
- 評価レベル
- 0
評価概要:
今回の検査に用いた水が万が一全量漏えいすると仮定すると影響は大きくなるものの、今回の漏えいはにじみ程度であり、今後の事象の進展も考えにくいこと、漏えいが確認された配管はトレンチ内にあること、自主検査で漏えいが確認されていることなどから、INESレベル0の「安全上重要ではない事象」と評価。
※INES評価
INES(International Nuclear and Radiological Event Scale:国際原子力・放射線事象評価尺度)とは、原子力発電所等のトラブルについて、それが安全上どの程度のものかを表す国際共通指標。評価は3つの基準(基準1:人と環境、基準2:施設における放射線バリアと管理、基準3:深層防護)により行われ、最も高いレベルがそのトラブルの評価レベルとなる。評価レベルは、レベル0(安全上重要ではない事象)からレベル7(深刻な事故)まである。
本発表資料のお問い合わせ先
原子力規制庁
担当:原子力防災課事故対処室
室長:古金谷 敏之
電話:03-3581-3352(代表)
03-5114-2121(夜間直通)
担当:坂本、小澤